H27年度 講演会実施報告

題目:21世紀を担う創造的IT人材の育成 — デジタルビジネス時代に求められる人材 —
講師:菊池 純男 氏(特定非営利活動法人 CeFIL 事務局長・理事,日立製作所)
日時:2016年2月1日(月) 16:20-17:50
場所:愛媛大学工学部 4号館E421(松山市文京町3)
聴講者:90名(学部生79名,学外者(民間企業)3名,他(大学院生,教員))

冒頭に,大学におけるカリキュラムの多くが,IT企業が求める,モデリング手法や設計手法,プロジェクトマネジメントといった内容を取り上げておらず,人材に対するニーズとマッチしていないとの指摘がされた.翻って,諸外国の大学のカリキュラムは,IT企業のニーズに合った教育を行っており.某外資系企業では,日本の大卒,大学院卒では,米国等に比べ新入社員教育に係る時間が,3年余分に必要であるといったことが紹介された.
その後,実践力は即戦力とは,まったく異なる能力であり,仕事をしていく基礎能力としての実践力が求められている.知識を知っている,覚えているだけではなく,使いこなせることが重要で,課題・問題の攻め方である「考えるプロセス」や「学ぶための方法」を身につけていることが,実践力に繋がることが紹介された.
また,教学(教えてもらう)で得られた知識を実践(PBLや中長期インターンシップといった実学)により定着させ,さらに新しい学び(自学)に繋がる循環という教育が,実践力を備えた教育に有効であるとされ,その根拠として,そのような教育を受けた社員とそうでない社員の4年目,5年目評価(上司評価)の結果比較が紹介された.
その後,現在社会で起こっている,デジタルビジネス,あるいは,それがもたらしている変革について,複数の事例の紹介が行われた.
このような社会のなかで,イノベーティブ人材を育成するための,あるいは,イノベーティブ人材となるための育成方法の紹介が行われた.
最後に,シーズ起点の「技術指向」から,現に存在する課題が起点となる「顧客指向」へとマインドセットを変えることが大切であると示されて,講演を終えた.


題目:イノベーションとデザイン指向
講師:菊池 純男 氏(特定非営利活動法人 CeFIL 事務局長・理事,日立製作所)
日時:2016年2月2日(火) 8:30-10:00
場所:愛媛大学工学部 講義棟EL35(松山市文京町3)
聴講者: 75名(学部生64名,学外者(民間企業)3名,他(大学院生,教員))

イノベーションを,「新しいアイデアから社会的意義のある新たな価値を創造し,社会に大きな変化をもたらす変革」であると定義し,変革(Innovation)が,模倣(Imitation)から始まり,改良(Improvement)を経たものであり,突然降って湧いたものでは無いという話題から,講演が始まった.
その後,日本発の身近なイノベーション事例が紹介され,具体事例からイノベーションへの理解を深めることができた.
また,「もの」を売るのでは無く,体験を価値として売っている(著名な)事例が紹介され,「物の所有」を中心とする価値観とは異なる価値観が紹介された.これに続き,「物の所有」ではない価値観を提供している様々なサービス事例が紹介され,それぞれが,どのような価値を顧客に提供しているのか,また,それらが,既存の価値観の上に成立していたビジネスを,如何に覆してきたのかが紹介された.
その後,イノベーションを起こすための取り組み姿勢について,また,「ニーズ」と「ウォンツ」の違い,UXやデザイン性がビジネスの差別化要因であることや,デザイン思考の重要性などが紹介された.


題目:ゲームデザインの世界
講師:渡辺 修司 氏(立命館大学映像学部)
日時:2015年 11月20日(金) 13:00-15:00
場所:徳島大学工学部共通講義棟K206(徳島市南常三島町2-1)
共催:情報処理学会四国支部,IEEE Shikoku Section
聴講者:114名

H27年度四国支部講演会穏やかな晴天となった11月20日,立命館大学映像学部の渡辺修司先生をお招きして,H27年度四国支部講演会が開催されました.
渡辺先生は大手ゲームメーカーでの開発経験をおもちで,ゲームデザイン研究に精力的に取り組んでおられます.ゲーム開発現場のリアルな話が聴けるとあって,授業でゲーム開発に取り組んでいる学生を中心に114名の聴講者で会場が埋まりました.
ゲームデザインとは何か?どうあるべきか?という問いかけから,渡辺先生のご経験に加え,認知科学などのさまざまな観点・知見を交え,“プレイヤを楽しませる”というゲームの本質を明らかにしていくという講演内容に,2時間という講演時間があっという間に過ぎていきました.個人的には特に,ゲームの難易度の制御手法について,その奥の深さを痛感しました(内発的難易度の概念は,ゲームのみならず日常生活でも活かせると思った次第です).
H27年度四国支部講演会今回の講演会でも(6月の招待講演に続き)Twitterによるコメント・質問をプロジェクタで表示することを試みました.「ゲームメーカーに就職するにはどうすればよいですか?」という質問に対する,「ゲーム以外の事にも力を注ぐ」という渡辺先生の回答に共感しました.
講演終了後,複数の学生が渡辺先生に積極的に質問していたことからも分かるように,大変有意義な講演会になりました.

【文責:四国支部幹事(徳島大学)光原弘幸】


題目:アジャイル開発の勧め
講演者:角 征典 氏(ワイクル 取締役、東京工業大学 大学院理工学研究科 特任講師)
日時:2015年11月06(金) 14:40-16:10
場所:香川大学工学部本館4301教室 (香川県高松市林町2217-20)
共催:情報処理学会四国支部
聴講者:70名

H27年度四国支部講演会11月6日,ワイクル株式会社の取締役で,東京工業大学の特任講師でもいらっしゃる角征典先生をお招きして,H27年度四国支部招待講演が開催されました.角先生は,日本のアジャイル開発やリーン開発の第一人者であり,企業でのコンサルティングや大学での講演をされています.名著「リーダブルコード」などの翻訳も手がけていらっしゃいます.会場は学生を中心に50名以上の聴講者で埋まり、他県からも聴講者が来ました.そして,角先生の熱気に満ちたご講演に90分の講演時間があっという間に過ぎていきました.
「アジャイル開発の勧め」と題された本講演では,従来のソフトウェア開発プロセスについての問題提起から始まり,現在のソフトウェア開発で必要な能力や,チームで開発を行う際の注意点などを非常に分かりやすく説明していただきました.複雑な問題に立ち向かうチームは「リーダーはいらない.メンバー同士,お互いに学び合いながら開発を進めるチームであるべき」という言葉には,聴講者の多くが感心していたように思います.
H27年度四国支部講演会講演中は,プロダクトを作ることについて複数回の演習も実施されました.「美味しいうどんを作る手順」を題材としたフィードバックの重要性の説明や,「良いソフトウェアを作る手法」として,ユーザーストーリーを実際に作ってみるなど,聞くだけではなかなか上手くできない部分を解説していただき、聴講者の「なるほど」という心の声が聞こえたように思います.
講演後には,30名以上の学生が集まって,ペアプログラミングの実習も指導していただきました.今まで経験したことのない実習に,参加者は驚きつつも、熱心に取り組んでいました.参加者からは「面白かった」「実際に開発でも活用してみたい」「今後の研究でも意識をしていきたい」などのコメントが寄せられ,未来を担う若手研究者のみならず,多くの技術者が大いに感化された、非常に有意義な講演会となりました.

【文責:(香川大学)富永浩之】


題目:プロジェクトマネジメントとチームビルディング
講演者: 森本 千佳子 氏 (東京工業大学 大学院情報理工学研究科 特任准教授)
日時:2015年11月06(金) 16:20-17:50
場所:香川大学工学部本館4301教室 (香川県高松市林町2217-20)
聴講者:59名

H27年度四国支部講演会11月6日,東京工業大学の森本千佳子先生をお招きして,H27年度四国支部招待講演が開催されました.森本千佳子先生はチームビルディングの研究をされ,PBLを通したプロジェクトマネジメントの実践的な教育を実践されております.また,enPiTクラウドの夏合宿も担当されています.会場は学生を中心に60名程度の聴講者で埋まり,角先生と連続講演ということもあり,他県からも企業関係の聴講者が来ていました.森本先生のユーモアのあるご講演に90分の講演時間があっという間に過ぎていきました.
「プロジェクトマネジメントとチームビルディング」と題された本講演では,プロジェクトマネジメントの知識体系であるPMBOKに沿った内容で進められました.まずはプロジェクトの定義から始まり,プロジェクトマネジメントについて,目玉焼きの作り方を例に説明をされました.次に,チームビルディングとコミュニケーションについて,図解や事例を取り入れながら講義していただきました.特に,コミュニケーションのMEHモデル,チームビルディングのタックマンのモデルが印象的でした.
H27年度四国支部講演会ソフトウェア開発は,チームによるプロジェクトとして進められることが普通です.炎上してチームがばらばらになったり,途中で挫折してしまうプロジェクトも少なくありません.聴講者の中には,身近にあったケースを思い浮かべて苦笑いする人もあったようです.活発な質疑の後にも,講演者と直接に話をする人もいました.大変に価値のある講演会となりました.

【文責:(香川大学)富永浩之】


【H27年度四国支部招待講演】
題目:音楽情報処理が切り拓く未来
講演者:後藤 真孝 氏 (産業技術総合研究所 情報技術研究部門 首席研究員)
日時:平成27年6月12日(金) 15:00~16:30
場所:徳島大学工業会館 2階 メモリアルホール(徳島市南常三島町2-1 徳島大学工学部内)
聴講者:84名

H27年度四国支部招待講演梅雨の最中にも関わらず快晴となった6月12日,産業技術総合研究所の後藤真孝先生をお招きして,H27年度四国支部招待講演が開催されました.
後藤先生は音楽情報処理の最先端を走る研究者であり,情報処理学会理事としてもご活躍されておられます.会場は学生を中心に80名以上の聴講者で埋め尽くされ,会場後方に追加の椅子を用意するほどでした.そして,後藤先生の熱気に満ちたご講演に1.5時間の講演時間があっという間に過ぎていきました.
H27年度四国支部招待講演歌声合成や音楽理解に関する後藤先生の多彩な研究内容がムービーを交えて紹介され,音楽情報処理がいかにして人間と音楽の関係をより豊かにするのか,音楽情報処理の未来には何が待ち構えているのか,など説得力ある話に皆さん聴き入っていました.ロボットに歌唱させる研究の説明の中にあった,「不気味の谷を乗り越えよう!」というメッセージは心に響きました.また,後藤先生の研究成果が社会に大きなインパクトを与え,社会にダイレクトに還元されていることに感銘を受けました.
H27年度四国支部招待講演今回の招待講演では,Twitterによるコメント・質問をプロジェクタで表示することを試みました.普段は汲み取ることの難しい聴講者のリアルタイムな思いが可視化され,後藤先生がコメント・質問に丁寧かつユーモアを交えて答えてくださり,会場内の一体感が増したように思います.
「おもしろかった」「楽しかった」「音楽情報処理に興味をもった」「音楽情報処理を研究したくなった」などのコメントが寄せられ,未来を担う若手研究者が大いに感化された,大変有意義な講演会となりました.
【文責:四国支部幹事(徳島大学)光原弘幸】